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相双地区の輝く大人を伝えるプラットフォーム④ 「株式会社 KiMiDoRi(川内村)」

相双地区の輝く大人を伝えるプラットフォーム④

株式会社KiMiDoRi(きみどり)
代表取締役 早川 昌和 (はやかわ まさかず)さん

 

今回は、川内村にある「株式会社KiMiDoRi」の代表取締役 早川 昌和さんにお話を伺ってきました。「KiMiDoRi」では水耕栽培による野菜の製造、販売を行っています。
早川さんを一言で表すと・・・
~川内村で顧客のニーズに合わせた野菜をつくり広めていこうと挑戦し続けている人~です。
以前は半導体関連や、水耕栽培で必要なバルブを扱う会社で仕事をされていたという早川さん。この会社が設立されたばかりの頃は試行錯誤の連続で栽培がうまくいかなかったり、収穫量が伸びないなどの問題もあったそうです。早川さんがどんな思いでこの事業をされていて、どんなビジョンを持っているのかを伺いました。

 

プロフィール

代表取締役 早川 昌和(はやかわ まさかず)さん
愛知県尾西市出身で1957年2月生まれ。
高校は柔道部、大学はライフル射撃部と体育会系の部活をしていたこともあり、今の趣味は川内村にできたプールやジムで体を動かすこと。

 

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Q. 川内村に来た経緯を教えてください。

水耕栽培で使用するバルブを製造している会社に勤めているときに川内村で新たに密閉式水耕栽培施設が建設されることを知りました。その時に何か新しいことに挑戦をしてみたいという気持ちから川内村にいくことを決めました。川内村役場に通い復興状況や村の産業などについて話を聞き、その後村長とも話をしてこの事業に関わることになりました。

Q. 設立の経緯について教えてください

川内村は震災と原発事故により全村民の避難や農産物出荷制限、生産の自粛などの影響を受けました。それに対して農業が村の産業として再生、活性化するための事業として、コンピューターによって栽培環境をコントロールし、無農薬で栽培を行う密閉式完全人工光型水耕栽培施設の建設が決まりました。
そして、東京都に本社を置き、外食業向けに青果物・生鮮品など総合食材を提供する「株式会社まつの」と村の共同出資のもと「株式会社KiMiDoRi」が設立されました。

Q. どんな事業をしているのですか?

LED照明と蛍光灯照明の2タイプの部屋を用意し、さらに科学的なデータや、インターネットを使った遠隔監視制御システムなどを用いた栽培室でフリルレタスを中心とした農薬を使わない作物の栽培を行っています。普段は夜間電力を使用して植物に照明をあて、昼間はつけないというように昼夜を逆転させて栽培を行っています。種まきから大体40日程度で収穫ができ、収穫した作物は自社で梱包まで行っています。

収穫した作物は、「株式会社まつの」を通じて首都圏を中心とした飲食店に供給するほか、オンラインショップでの販売や、県内の一部の直売所でも販売しています。

 

Q. 事業の目的について教えてください

安全・安心・高品質な野菜の安定供給を達成することで、産地形成と地域雇用の拡大を図り、村の復興と活性化を目指すことです。
今の川内村では雇用を増やすにも働く人が少なく、人を呼ぼうとしても就職先がない、という現状です。改善を繰り返しながら事業を進めていくことで、川内村といえば屋内で栽培された農薬を使わないレタスという産地形成や、工場の規模を拡大するときに新しい雇用につなげることが出来ると考えています。

Q. ビジョンについて教えてください

完全密閉型の工場で作った農薬を使わない安全で安心の野菜の国内シェアを上げていくことが目標です。今はまだ稼働率が100%に到達していないのでまずは稼働率を上げることですね。そして、現在は極わずかな密閉型の工場で作った野菜の国内シェアを上げていきたいと考えています。

Q. この仕事の魅力ややりがいを感じるのはどんな部分ですか?

栽培方法の改善や栽培の環境などを少しずつ改善してきたこともあり、事業が軌道に乗ってきています。コツコツと積み上げて顧客の求める野菜を栽培できているのかどうかの答えが、この会社の場合は利益として目に見える形で表れてきます。また商品を買った人に満足して頂きたいと思います。

Q. 仕事とはどのようなものですか?

本来なら生きるための糧を得るためのものだと思いますが、お金が得られればいいというわけではなくて、一番大事なのは自分がその仕事をやってよかったと思えるのかどうかだと思います。
自分がその仕事をやってよかったと思えるように取り組むのが仕事で、そのあとに生きるための糧を得るという要素が付いてくるものと考えています。

Q. どのような人材と一緒に働きたいですか

企業だから利益を出さなければいけない。その中で利益を出すためにはどうするか、また、自分が何のために仕事をしているのか、目的を達成するにはどうすればいいのかを考えられる人と一緒に働きたいですね。
あとは素直に質問が出来る人ですね。何かやってとお願いした時に分からないことがあったら質問してもらえると、こちらとしても教えることが出来ます。

Q. 大学生にはどんなことを学んできてほしいですか?

ゼミやサークルなどの集団活動を経験してほしいです。
社会に出れば上下関係がはっきりとするので学生の時にそういったことを経験しておくと役に立つからです。
ある行動を叱るという先輩としての態度をとるには、自分がそれをしていてはいけいけません。このように、態度は行動に繋がり、結果として自分を高めることになるのでゼミやサークルなどの集団活動を経験してほしいです。
また、自分の仕事に対してより良くするにはどうすればいいのかを考えるのは簡単ではありません。学生の時から何か物事に対して機械的に取り組むのではなくそれをやる理由などを考えながら取り組むことをしておくと社会に出たときに生かすことが出来ると思います。

 

会社情報

・法人名     株式会社KiMiDoRi

・代表理事    早川昌和

・設立年月日   2013年(平成25年)4月2日

・業種      製造業

・従業員数    20人

・本社住所    福島県双葉郡川内村大字下川内字松川原11

・ホームページ  https://www.kimidori-corp.com/

・電話番号    0240-25-8684

・FAX      0240-25-8674

・メールアドレス info@kimidori-corp.com

 

 

お話を伺って・・・

今回お話を伺った早川さんは愛知県の出身で福島県に住んだことはなかったそうですが、それまでの仕事を辞め、知らない土地で新しい挑戦をするという決断と行動力がすごいと感じました。また、お話を伺う中で早川さんは真剣に川内村のことを考えていることが伝わってきました。
「若者がいなければ仕事は成り立ちません。一方で、様々な業種がある都市部に若者が出て行っているのが現状ですので、当社も彼らが働きたいと思える仕事をどんどん創っていく必要があります。また、十分な利益を上げられるように収益構造も改善をしなければいけません。
利益をあげるための商品価値を決めるのは顧客です。例えば我々が野菜を1つ200円で売りたくても、顧客が100円しか払えないと思えば商品価値は100円ということになります。だからこそ私たちは顧客が200円の価値を見出せる質の野菜をつくっていけるように意識して取り組んでいます。」
話を聞きながら「なるほど」と思わず声が出てしまいました。
早川さんだけでなく従業員全体が真剣に仕事に取り組める環境づくりをしており、改めてそれだけの意思をもって仕事をしているのだなと感じました。

最後に今回取材にご協力いただきました「株式会社KiMiDoRi」代表取締役 早川様、
取材をご承諾いただきました「株式会社まつの」様に厚く御礼申し上げます。

編集(福島大学 佐藤勇樹)

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この事業は、当団体が福島県「平成30年度福島県避難者・帰還者心の復興事業」の助成金の交付を受けて行っています。


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