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相双地区の輝く大人を伝えるプラットフォーム⑭ 「株式会社 小高ワーカーズベース(南相馬市小高区)」

「相双地区の輝く大人を伝えるプラットフォーム⑭」

株式会社小高ワーカーズベース
代表取締役 和田 智行(わだ ともゆき)さん

今回は、南相馬市小高区にある「小高ワーカーズベース」の代表取締役である和田智行さんのお話です。
和田さんを一言で表すと・・・
~地域の課題の数だけビジネスをつくり小高をより良くしようとする人~です。
全域に避難指示が出された小高区に単身で戻って事業を始めた和田さんがどんな思いを持っていたのか。人が少しずつ戻ってきている中でどんなビジョンを持っているのかを伺ってきました。

 

~プロフィール~

代表取締役 和田 智行(わだ ともゆき)さん
和田さんは南相馬市小高区出身、1977年1月生まれ。
趣味はアウトドア

 

Q.  設立の経緯について教えてください

私自身も避難を経験しましたが、避難後初めて小高を訪れたときは伸び切った雑草に埋まった家などの変わりように喪失感を覚えました。しかし、小高に戻ってきたいと思っていました。震災前からしていたITベンチャーの役員を震災後も続けていたのですが、小高の課題解決をビジネスにした方が地域に与える影響が目に見えると考え、事業をスタートしました。

Q.  どんな事業をしているのですか?

震災後、小高の案内をすることもあったのですが、小高を一時的に訪れる人はいても長期間関わり始めるなどの行動に結び付いていないと感じてそういった人々が利用できる場所をつくることで状況が変わるのではないかと思い2014年5月、小高駅から7分ほどのところにコワーキングスペース「小高ワーカーズベース」をオープンしました。その後2014年9月に現在の小高駅前に移動しました。
オープン当初は20㎞圏内を視察するメディア関係者やインターン生、NPOの人が利用していて、最近はフリーランスの方やNPOの方など常時利用している方もいます。

「おだかのひるごはん」

小高に除染などの作業をしに来る人に温かい食事を食べてもらいたいという思いから、地元の人と協力し双葉食堂の建物を借りてオープンしました。2014年12月にスタートをして営業していましたが他の飲食店も増えてきて、建物を借りていた双葉食堂も再開するということで役目を終えたと判断し2016年3月11日で営業を終了しました。

「東町エンガワ商店」の運営管理

震災後避難指示が出たこともあって小高には食料などを購入できる店がなくなりました。そこで南相馬市が公設民営である仮設商業施設「東町エンガワ商店」の運営委託先を募集しており、受託することになりました。復興に携わっている方や帰還してくる住民の利便性向上を目的に2015年の9月28日から営業をスタートしました。2018年12月6日、より大きな公設民営の商業施設が整備されることになり、「東町エンガワ商店」は仮設としての役割を終え、2018年12月5日に営業を終了しました。

「HARIOランプワークファクトリー小高」の運営とアクセサリーの製造・販売

私たちは働きたいと思える職場がないため小高に戻ってこない人もいるのではないかと思い、若者と女性に魅力的な仕事づくりを行う必要があると考えました。

そして、その時に耐熱ガラスメーカーである「株式会社HARIO」が職人技術の継承を目的としてガラスアクセサリーブランド「HARIOランプワークファクトリー株式会社」を立ち上げ全国各地に生産拠点を設立していることを知りました。①手に職がつく②成果報酬であるため長時間外で働けない子育て中の方でも働くことが出来る。③ガラスのアクセサリーがかわいくておしゃれなため若者や女性に魅力的である。という3つの点から「HARIOランプワークファクトリー」本社に相談をして「HARIOランプワークファクトリー小高」がオープンすることになりました。

「HARIOランプワークファクトリー」とライセンス契約を結び、当社が運営を行っています。現在6名(2名が産休・育休中)の女性がアクセサリーの製造を行っています。また、2019年3月には、南相馬にまつわるものをモチーフにしたオリジナルガラスブランド「iriser(イリゼ)」をリリースしました。

 

コワーキングスペース「NARU」の運営
原ノ町駅から徒歩8分ほどの距離にある「NARU」は、カフェのようにくつろげる空間で作業し、新しいチャレンジを始める創造的な場として2018年10月5日にオープンしました。
スペースを提供している他、時間や場所にとらわれない新しい働き方を学ぶワークショップやまちづくりに関わるイベントなどを開催しています。

「Next Commons Lab南相馬」事務局の管理運営
地域づくり協力隊が活躍できる仕組みとして昨年スタートしました。
隊員は南相馬市を拠点に課題を解決する事業づくりを行い、それを市や地元企業がサポートを行うという仕組みになっています。私たちはコーディネーターと一緒に事務局の運営を行っています。

Q.  目的について教えてください

新しいチャレンジを行うことが普通に感じる地域になり、多様なビジネスが生まれる持続性のある地域を目指すことです。

Q.  ビジョンについて教えてください

「地域の100の課題から100のビジネスを」というミッションの下で課題を解決していく結果、なりわいを持ちたい、小商いを始めたいなどのチャレンジしやすい環境になり多様なビジネスが生まれたら良いなと思います。住んでいる人が精神的に豊かな生活が出来ることが理想で、一番重いペダルの漕ぎはじめを私たちが担っていきたいと思っています。

Q.  この仕事の魅力ややりがいを感じるのはどんな部分ですか?

自分たちがビジネスを行うことで地域に与える影響が目に見えるという部分です。
何もなかった場所にお店を建てて運営を行うことで他のお店が増えたり、高校生が関わってくれるようになったりして状況が変化していく様子を見ることが出来ます。このように自分たちの事業が町を前進させていることが分かるというのはやりがいにつながりますね。

Q.  和田さんの考える理想の地域像を教えてください

チャレンジをすることが地域の中で普通になり、大きな産業だけでなく多様なお店やサービスが生まれて持続できる町になることが理想です。

どのような人材と一緒に働きたいですか

就職すれば安泰ということはなくて、個人として社会に必要とされる存在になることが大切だと考えているので、向上心を持てる人と一緒に働きたいです。
また企業も1つの事業だけをしていれば安泰というわけでもありません。私たちとしても様々な事業、ビジネスを行い若者に機会を提供していきたいと思っています。

大学生にはどんなことを学んできてほしいですか?

2つあって、1つ目は色々なことに挑戦する姿勢を身に付けてほしいと思います。
福島にいると復興やまちづくりなどに関わることに偏りがちになってしまいます。しかし、それだけでなく学生の間にしかできないことに積極的に挑戦してください。
2つ目は、いろいろな人と会って話をして自分のロールモデル(自分がなりたい理想の人物)を決めることです。
ロールモデルを決めることで自分の理想と現実のギャップが見えてきて何をすればいいのかを明確にしやすくなります。また何か詰まったときにその人ならどうするだろうというのを考えることが出来るようになります。

会社情報

・会社名     株式会社小高ワーカーズベース

・代表取締役   和田 智行

・設立年月日   2014年11月

・従業員数    12人(うちガラス職人6人)

・本社住所    福島県南相馬市小高区本町1-87 小高パイオニアヴィレッジ

・ホームページ  https://owb.jp/

・電話番号    0244-26-4665

・FAX      0244-26-4665

・メールアドレス con@owb.jp

 

お話を伺って・・・

今回お話を伺って感じたのは和田さんの行動力です。震災後初めて小高に戻ったときは変わってしまった様子に喪失感を感じたとのことですが、そこから2014年に1人で小高に戻りコワーキングスペースの運営を通じた拠点づくりを始め、「東町エンガワ商店」の運営、「HARIOランプワークファクトリー小高」などなど様々な分野のビジネスをされていてその行動力に驚きました。和田さんは、知識を増やすだけでは状況は変わらず、行動を起こすことが大切で、やっていくうちに学ぶことが出来る。とおっしゃっていました。これまでに取材をした方の中にも「行動を起こすのが大切」とおっしゃっていた方がいて、相双地区で行動力というのは重要になるのだなと感じました。

改めて今回取材にご協力いただいた「小高ワーカーズベース」の和田智行様に御礼申し上げます。

取材・文章(佐藤勇樹)

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この事業は、当団体が福島県「平成30年度福島県避難者避難者・帰還者心の復興事業」の補助金の交付を受けて行っています。


一般社団法人 Bridge for Fukushima
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