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「第5回 起業家の話を聞く会」(ゲスト:齋藤栄太氏)

Bridge for Fukushimaが福島県から委託を受け「未来の起業家育成事業」の一環として行っております。

今回は福島市のコラッセふくしまにて、川俣町で世界一薄い絹織物を作った斎栄織物株式会社 常務 齋藤栄太様のお話をお伺いしました。

まずはじめに、事業担当の吉田より事業説明をしたのち、福島大学1年の高木吏花さんに「ふくしま・石けん屋」の話をしてもらいました。
先月行った販売会では、石けん一個いくらにするのか等、お客さんに売ることを考えたときに自分の作った物にこの価格が正しいのか戸惑ったことについて話してくれました。

そしていよいよ齋藤さんのお話です。
はじめに川俣シルクの歴史・会社の歴史をお話しいただきました。
川俣町での生糸の生産が盛んだった最盛期には、東北初の日本銀行支店が福島市にできたというほどの繁栄ぶりでした。
しかしながら、安い海外産の絹製品の流入で川俣町の生糸業も衰退し、生糸業者も減ってしまったそうです。
その中で、世界一薄い絹織物を開発した経緯をお話しいただきました。
他の会社と何が違うのかを問われたとき、会社の核になる商品を作ろうと思ったそうです。
もともと薄くて軽いことを特徴としていた川俣シルク、そして斎栄織物さんが得意としていた先染め織物を発展させて、世界一薄い先染めの絹織物を開発されたそうです。
そして光の角度によって色が変わる先染め織物の美しさから、「妖精の羽」と名付けたそうです。
製品にストーリーが結びついていることの、核になる商品をもつことの大切さを学びました。

斎栄織物さんでは、原料としての生地だけではなく、消費者向けの商品も作っています。

これまでは企業やデザイナーさんを対象としていたところ、「妖精の羽」を開発してからは、消費者の方々からの要望を受け、そして最終商品まで作ることにしたそうです。
消費者向けの最終商品には、SAIEI SILKのブランド名をつけて販売しているそうです。
対象者ごとに売り方を変えているという、戦略についてもお伺いすることができました。

それから、斎栄織物で製造した生地は、「絹張りの提灯」という意外な使い方や、舞台の衣装、桂由美氏がデザインしたウェディングドレスといった、
華々しい商品の数々をご紹介いただきました。
世界一薄い、軽い、という付加価値をつけることができたことによって、斜陽になっていた絹織物を世界に注目される製品にすることができたそうです。

最後の質疑応答の時間には、世界一薄いシルク開発のうえでの困難についてお伺いしました。
糸が細すぎて職人の目で見えなかったり、機械で織るには強度が足りなかったり、多くの困難があったそうです。

それでも諦めなかった原動力についてお伺いしました。
リスクのある商品を扱ってくれた撚糸(糸によりをかけること)業者さん、染め屋さん、そして会社の職人さん、
といった人たちの想いに対する回答を作らなければならないと思ったから、諦めずに開発することができたそうです。

川俣町の絹の発信にかける想いと、商品開発・販売に対する戦略をもった齋藤さんからのお話をお伺いして、
なぜその事業に取り組むのかを語れること、戦略をもって動くことの大切さを学びました。


一般社団法人 Bridge for Fukushima
[本部:高校生のためのコミュニティスペース palette]
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