相双の輝く大人を伝えるプラットフォーム③
NPO法人 広野わいわいプロジェクト
理事長 根本 賢仁 (ねもと まさひと)さん
今回は、広野町の「NPO法人 広野わいわいプロジェクト」で理事長をされている根本賢仁さんのお話です。
根本さんを一言で表すと・・・
~様々な人々と協力をして広野町のコミュニティづくりをしている人~ です。
今年71歳の根本さんは「広野わいわいプロジェクト」の理事長としてだけでなく、神社の氏子総代や行政区長として町に関わってきました。新しいことに積極的に挑戦し続けている根本さんがいまどんなことを行い、どんな町を目指すのかを伺いました。
~プロフィール~
理事長 根本 賢仁(ねもと まさひと)さん
双葉郡広野町出身、1947年1月生まれ。
趣味は園芸。
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Q. 設立の経緯について教えてください
震災後「ひろの防災緑地」の建設がスタートしていて、2016年3月に復興庁の「新しい東北先導モデル事業」として植樹祭を開催することになりました。その時は任意団体「広野サステイナブルコミュニティ推進協議会」として関わってましたが、植樹祭終了後、復興庁の方から法人にしませんかという提案があり、2016年の4月に「広野わいわいプロジェクト」の設立となりました。
Q. どんな事業をしているのですか?
現在は20a(アール)の圃場でコットンの有機栽培を行っています。
広野町の沿岸部は津波による塩害がありそれによって耕作放棄地になった土地もありました。その土地を活用するためいわき市の「NPO法人 ザ・ピープル」と連携し、塩害に強いオーガニックコットンの栽培を2013年にスタートしました。コットンは毎年5月ごろに種まきを行い10月ごろから収穫となります。
当団体主催でボランティア日帰りバスツアーを行ったり、県外からの学生や大手企業のボランティアの方々を受け入れたりするなど多くの人がこのコットン栽培に関わっていて、リピーターとして何度も広野に来る人もいます。収穫したコットンは「ザ・ピープル」に送り、Tシャツやコットンベイブという人形になります。
2018年4月から「まちなかマルシェ」を毎月第4日曜日に広野駅前通りの旧馬場医院駐車場で開催しています。2018年10月27日が第7回目の開催となり、回を重ねるごとに来場者や出店者が増えてきています。申し込みさえすれば誰でも出店することが出来て、趣味で作った小物を販売している人や、ミニパソコン教室をしている人もいます。駅前の商店街の活性化と、住民が集まる場づくりを目的にしています。
広野町の米を使用した「米粉のビスコッティ」の開発と販売も行っています。どんな商品をつくるかというワークショップを数回行い、住民や学生と話し合った結果、米粉のビスコッティ(イタリアの焼き菓子)をつくることに決まりました。パティシエの山本さんにご協力いただき商品化することが出来ました。「まちなかマルシェ」でも数量限定で販売しています。
Q. 目的について教えてください
震災から7年が経過し、住民の帰還率も8割を超えましたが、まだ町全体のにぎわいやなりわいには繋がっていません。「まちなかマルシェ」などを通して住民のにぎわいやなりわいづくりをしていくことが目的です。
Q. ビジョンについて教えてください
植樹祭やまちなかマルシェ、コットンプロジェクトなど震災後広野町の復興に関わってくる中で得た経験を若者に受け継ぐ仕組みをつくることです。地域活性化や課題解決などの活動する学生のサポートをしながらその経験を伝えたり、「広野わいわいプロジェクト」で一緒に働きながら経験を受け継いでいきたいと考えています。経験がどんどん受け継がれていくことで若者がチャレンジしやすく、にぎやかな町になってほしいと思いながら今の事業をしています。
Q. 根本さんの考える理想の地域像を教えてください
復興には明確な正解がないと思っています。だからこそ若者が、「例がない」などの固定概念に縛られることなく積極的に町を変えるためのチャレンジを出来る地域になることが理想です。私としてはその若者を後押ししていきたいと考えています。
Q. この仕事の魅力ややりがいを感じるのはどんな部分ですか?
にぎわい・なりわいをつくることを目的としているわけですが、当団体で町民が集まれるイベントを開催してそこに来た人たちが楽しんで笑顔になってくれた時に、また次も頑張りたいと思えます。また、マルシェのように定期的に行うものだと1回目からの変化が分かり、始めたばかりの時よりも多くの人に来てもらえたり、話し声がたくさん聞こえるようになるとやりがいを感じます。
Q. 根本さんは今どんなことをされていますか?
団体とその活動を次世代の人たちにどうやって継承していくかを常に考えています。
ビジョンでも言ったようにこれまで積み重ねてきた経験を受け継いでいきたいという思いがあり、今は受け継いでいく方法について考えています。
Q. どのような人材と一緒に働きたいですか
歴史や世の中を変えてきたのは若者だと思っています。例え明確なプランがないとしても主体的に広野町の課題解決やまちづくりに関わりたいと思っている若者と一緒に働きたいです。また、まちづくりや課題解決は失敗もあります。それでも失敗を恐れずに挑戦できる若者のことをサポートしながら一緒に仕事をしたいです。
Q. 大学生にはどんなことを学んできてほしいですか?
学生には自分の得意な分野、自分の能力を最大限に生かせる職や働き方を見つけてほしいと思います。
社会に出たときに専門的な知識を持っていることは大きな武器になり、自分の能力を知って生かせると自信にもつながります。自分はどんな分野が得意(好き)なのか。どんな能力(人をまとめる、イベントの企画など)があるかを知り、そのうえで将来の仕事を探してみてください。
また、他者と協力して物事を進めるということを経験してきてほしいです。
行政でも民間でも他の業種の方と連携して事業を行うということもあります。
協力するうえでどんなことが必要になるのか、注意しなければいけないところは何なのかなどを知っておくだけでも社会に出てから役に立つと思います。
会社情報
・法人名 NPO法人 広野わいわいプロジェクト
・代表理事 根本 賢仁
・設立年月日 2016年4月
・業種 地域振興
・スタッフ数 15人
・郵便番号 〒979-0403
・本社住所 福島県双葉郡広野町大字下浅見川字広長28-1
・ホームページ https://www.facebook.com/hirono.waiwai.project/
お話を伺って・・・
広野町は、私が高校生の時に住んでいたこともあり個人的な思い入れも強い地域です。
今回取材した根本さんにも高校時代お世話になっていました。
取材時に訪れた2018年10月の「まちなかマルシェ」の様子も「広野わいわいプロジェクト」の根本さんや事務局長の磯辺さん曰く、「今回はいつもより子供がたくさん来ている」とのことでした。実際見ていても小学生より年下の子が多く来ており、ふたば未来学園高校生が行っているお菓子掴み取りや、パソコン教室に集まっていました。町民が集まる場所に高校生が入って交流につながっているのはいい流れだと思いました。
根本さんのお話の中にも若者に引き継いでいくという言葉がありましたが、若者が主体性をもって動くことが出来て大人がそのサポートをして見守ってもらえる地域になったらとても素敵なことだなと感じました。
改めて今回取材にご協力いただいた「広野わいわいプロジェクト」の根本賢仁理事長とスタッフの皆様に厚く御礼申し上げます。
編集(福島大学 佐藤勇樹)
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この事業は、当団体が福島県「平成30年度福島県避難者・帰還者心の復興事業」の補助金の交付を受けて行っています。