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【第 1 回:横山温香(よこやま のどか)浪江町出身】

【第 1 回:横山温香(よこやま のどか)浪江町出身】

福島の高校生たちの取組の1つに、中国と福島の友好関係を築こうと結成された「あいでみ」があります。震災後の翌年 9 月に結成され、今年で 3 年目となります。現 在、所属している高校生たちは 16 人。福島高校の生徒からスタートしたこのプログラ ムは、今や、安積高校、相馬高校、宮城県の古川黎明高校の生徒も参加し、活動の幅を広げています。

第 1 回 BFF 高校生メンバーインタビューは、「あいでみ」第 3 期生で、現在、宮城県 の古川黎明高校に通う 1 年生の横山温香さん。温香さんは、避難指示区域となり、 全町避難となっている浪江町請戸地区の出身です。 彼女に、震災当時、そして現在の生活、彼女にとってのBFFの存在について話を聞きました。

(左:インタビュアー 佐々木瞳、右:横山温香)

■ 震災からもうすぐ4年がたとうとしていますが、あの頃の頃を振り返ってみるとどんなことを思い出します。

震災のときは、小学 6 年生だったんです。
卒業式の会場準備をみんなでしていて、 早く帰るはずだったけれど、思ったより長引いて。そのおかげで全校生徒、皆で逃げることができたんですが、 本当に津波がくるか分からなかった。6年生が1年生の手をひいて、シューズとジャージのそのままの格好で、とにかく山に逃げ込みました。 命を守るための行動に必死だったって感じです、とにかく逃げなきゃって。

■ こわいという感覚はありましたか。

いえ、どちらかというと自分は冷静な感じで「だいじょうぶだよ、みんな、大丈夫だよ」 ってみんなに声をかけていました。 もともと、冷静に対応できる性格なんだと思います。
ただ、同級生の友達の家族は神社をやっていて、すぐそばが海で、家族が津波でなくなってしまったりして、再会したときになんて声をかけていいか、分かりませんでした。
そのときからかな。いつ、何が起こるか分からないから、もっとちゃんと人と関わっていかなきゃいけない なって思い始めました。

■ 温香さんのご家族は大丈夫でしたか。

私のところは、お父さん、お母さん、お姉ちゃん、弟、おじいちゃん、私の6人家族なんですけど、そのときはお父さんが宮城県に単身赴任をしていたんです。だけど、その日は、ちょうど中学校のお姉ちゃんの卒業式でちょうど、単身赴任先からお父さんが帰ってきていたから、 お父さんとお母さんが冷静に判断してくれて、うまく避難できたんです。
そのあと、避難所の役場から、避難所を2か所移動して、新地町の親戚の家にいって、そこから宮城県の避難所にいって、最後に単身赴任をしていたお父さんの家に、行きました。
移動しているときも 車がそんなに大きくなくて6人乗っていたので、ぎゅうぎゅうで結構疲れました。
お父さんの家も、2つしか部屋がなくて、1つがおじいちゃん用で、もう1つの部屋で布団 3 枚に 5 人で寝ていました。
ただ、震災前から、宮城県の学校にはいることは決まっていたので、制服はあったんです。なので、入学式はちゃんと制服を着て出られました。

■ 震災後、福島県を離れて何か感じたことはありますか。

福島の人たちって本当にあたたかいなって。 自分の住んでいたところでは、野菜を分けにきてくれる人がいたりとか、外で洗濯物を干していたときに、通りかかったら、挨拶をしてくれる人がいたりしました。いいところに住んでいたんだなって、感じました。お父さんが宮城での仕事を退職したら、家族で福島に戻ろうという話はしています。

(写真:「あいでみ」の渡航前準備会)

■ 故郷の良さを改めて気づいたってことなんですね。 今はBFFに参加するために宮城県から福島市に来てるってことですよね。 どのくらいのペースで来ているんですか。

上海への渡航の前は、月に1回位だったと思います。 最近は、中間報告会の練習とか、サンクスレターを送ったりとか、あったんですけど、用事が入ったり、雪でなかなかこられなかったりしたときもありました。
けど「あいでみ」はとてもにぎやかで、来られた時はみんなとの話が本当に楽しいんです。
どうでもいい話も幅広くて面白い。 例えば、けんたろうくんっていうメンバーの子がいるんですけど、ベラルーシに行ったことがあるんですね。そのベラルーシで会った女の子がとても可愛くて、その子とコミュニケーションをとりたくて手に「よろしく」と書いたりしていたとか。 色々な経験をしている子が多いから、笑いの視点も幅広いです。

■ 本当に色々なことに取り組んでいる子が多いですよね。

そもそも何で、「あいでみ」に参加しようと思ったんですか。 ソフトバンクさんの「TOMODACHIプロジェクト」のプログラムで高校生の夏にアメリカにいったときに、あいでみのメンバーも参加していたんです。そのプログラムに参加している子はfacebookに登録をしなきゃいけなくて、そこで「あいでみ」の活動を知っ て、興味をもったんです。 実は、私、将来、プレスクール(英語の幼稚園)で働きたいと思っているんですね。 なので、今のうちから海外にいきたいなと思っていて。 去年の秋から「あいでみ」に参加しています。

■ 今回の12月の上海渡航には、行きましたか?

はい、行きました。メディアを通して中国に対して、PM2.5や食べ物への不安があってよくないイメージがあったけど、行ってみて、人が親切で親近感がわきました。 衛生面が悪いと言われているけど、コンビニでおでんにカバーがかけてあったりとか。
あと、驚いたのが食べ物のバリエーションが多かったことです。 饅頭の味も10種類あったり、ポッキーもワイン味とか色々ありました。 行ってみないと知らないことがたくさんあって、飛び込んでみて、分かることがあるんだなということに気づけました。
あと、上海の高校生たちと交流をしたんですけど、みんな、英語がペラペラで、 自分も将来、英語を使う職業だから、しっかり勉強しなきゃいけないな、とも思いまし た。

(写真:2014 年 12 月「あいでみ」上海渡航中、復旦大学附属の生徒と)

■ 「あいでみ」で活動する中で、自分が影響された人はいますか。

あいでみ共同代表の西村亮哉先輩です。 TOMODACHIプロジェクトでいったアメリカで、亮哉先輩も一緒だったんですが、スタッフの方に「自分の想いがなかなかみんなに伝わらない」と熱く訴えかけていたんです。
あと、自分の名刺を持ってきていて、みんなに配ったり。 最初はすごく変な人だなーと思っていたんですけど偉い人が話すときにも必ず質問をするんですよね。 徐々にすごい人だなーって思い始めて、今はすごく尊敬しています。

■ どんなところがすごい人だなって思ったんですか。

自分が思ったことに、「何で?」って思うことで自分の考え方が深まるってことを教えてくれたんです。その言葉がすごく印象に残っていて。なので、私も実践しています 学校の「防災と○○」という選択の授業で、その考え方を使わせてもらったりしました。 私は「防災と国際」というテーマを選んだんですけど、 友達に他のテーマとどっちを選択した方がいいと思う?って聞かれたときに、「何でそう思うか」をもっと考えた方が、もっと考えが深まっていい選択ができると思うよとか、そんなふうにアドバイスをしたこともあります。
あと、亮哉先輩は、「あいでみ」や他にも色々な活動もしているけど、 バンド活動もしていて、色々な分野に取り組んでいるので、すごいなーっと思うし、 私もいろんなことに取り組んでいきたいと思いました。
それとBFFの加藤さんと会って、大人のイメージが変わりました。大人って威張っているイメージが少しあって、子供と別っていう感じがしていたんですけど、 加藤さんは大人、大人していなくて、親しみがもてるんです。自分たちが考えに行き詰っているときにフォローしてくれたりして、 私たちと同じ目線で話してくれるからとても嬉しいです。

■ 色々な人に影響されて、色々な考え方を吸収していってるんですね。

具体的に取り組んでいることとかありますか。生徒会の副代表に自分から立候補して今、やっています。「人生1度きり」って言葉をよく聞くんですけど、それが最近よくわかってきて、大人になったときに、あれやっとけばよかったなと後悔したくないなと思ったんです。もし失敗しても恥ずかしくても、大人になったら笑い話に出来たらいいやって。
実は、以前は、周りが自分のことをどう思っているんだろうとか、 友達に「何この人?」と思われたらどうしようと思って、自分から立候補したり、人に話しかけるのもあまり得意ではなかったんです。 今も友達を作るのは苦手で、体育の授業で競技を選択するときに、仲のいい友達とグループが離れてしまって、他のグループに自分から入れなかったりしていたんです。 けど、それでもいいかなって、そうゆう自分なんだなって 最近は受け止めている感じです。自分が思うほど、周りは気にしていないから、やりたいことをやろうと思えるようになりました。

(写真:「あいでみ」報告会にて)

■ 周りへの接し方で何か変化したこととはありますか。

例えば、何かイベントの募集とかあったりするじゃないですか、そうゆうときは友達にこうゆうの参加してみたらどうかな?って言うようになりました。 私自身も挑戦してきたから、みんなにもやってもらいたいなーって思うようになったん です。

■ 友達を巻き込めちゃうほど、積極的になってきているってことなんですね。

将来の夢のことも聞きたいんですが、プレスクールの先生になりたいと言っていましたよね。

はい、お姉ちゃんが、高校のとき英語科にいっていて、お姉ちゃんに負けたくないって気持ちが強くて、英語に興味を持ったんです。 最近はアーティストのワンダイレクションが好きで、英語がさらに好きになりました。
本当は以前、「幼稚園の先生」が将来の夢だったんですけど、 その幼稚園の先生と英語で、いい仕事ないかなとパソコンで探していたら、 プレスクールがでてきて、「あーやってみたいな」と思ったのがきっかけです。
もちろん大学に進学はしたいと思っています。 出来たら、神奈川の大学に行きたいです。家族全員が、鎌倉とか横浜が好きで、もうすでに住む家も調べ始めているくらいです。
ただ、やはり福島も好きなので、今後もイベントとかあったらどんどん参加して関わっていきたいと思っています。

■ 最後に、温香さんにとってBFFはどのような場所ですか。

とても楽しくて、みんなに会いたいなと思わせてくれる場所です。 自分の考えを話せて、その考えに対して「こんな見方もあるんじゃないの?」って言ってくれる人がいるから、 色々な考え方を学べる場所だとも思います。自分も今後、物事を考えるときは、こうゆう目線で考えてみようと思えるんです。これからも積極的に関わっていきたいし、とても楽しみです。

一般社団法人 Bridge for Fukushima
[本部:高校生のためのコミュニティスペース palette]
〒960-8061 福島県福島市五月町2-22
TEL&FAX:024-502-7121
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