福島市中心部にある福島県立明成高等学校。経営マーケティングプログラムを導入して3年目となる今年度は3年生18名がこの授業を受講しています。
7月11日(月)に今年、このプログラムで販売する商品についての「計画発表会」を行いました。模擬会社を作って実施しているプログラムでは、計画発表会は、資金を出してもらう銀行や株主に対して商品が利益を出せることを説明するための場としています。
この日のために、生徒たちは、自分たちでパワーポイントを使ってプレゼン資料を準備しました。商品の説明はもちろん、これまでの授業で考えてきたセールスポイントや、販売ターゲット、事業収支など、5分間の発表の中でいかに相手にわかりやすく、説得できる内容にするか頭を悩ませながら、社長を中心として資料をまとめます。もちろん、伝わる資料の作り方や、パワーポイントの使い方も授業の中で勉強しました。
「去年の東京販売会の顧客データを入れた方が、説得力のある資料になるかな?」「なぜこの価格にしたのか、その理由を説明する資料もあるほうがいいんじゃない?」と意見を言い合い、資料の下書きを進める生徒達
発表会当日の数分前まで資料を見直し、データを追加したり、発表の練習をしたり、準備に余念がありません。そしてついに発表会が始まりました。
銀行や株主の方を想定して、広告代理店の企画担当の方や、食品会社の商品部の方、アクセンチュアの役員の方にゲストとしてお越しいただき、普段の授業とは違う雰囲気に生徒たちの緊張はピーク。
しかし、さすが練習の賜物。各会社の社長たちは、準備した原稿を片手にではありましたが、堂々と自分たちの商品について、5分間のプレゼンを行うことができました。
発表後の質疑応答では、プロの目線から厳しい質問が次々飛び交います。どんな質問が来るか、ドキドキしている様子が、こちらからも伺え、私まで汗が出てきました。
「1個の大きさは?どのようなシーンで食べてもらうことを想定している?」
「もっとこの学校で作った農産物を使うと商品力があがるのではないか、もっと使えるものはない?」
「リッチさがセールスポイントだけれど、ターゲット層が「リッチ」と感じるものはどのようなものか、もう一度考えてほしい。」
これらのポイントをつく質問に、生徒たちは言葉に詰まりながらも、できるかぎりの範囲で精一杯回答し、ゲストの方に納得していただくことができました。
計画発表会終了後には、
「途中で何を言っているのか分からなくなるほど緊張したが、終わってほっとした。」
「こんなに真剣にたくさん質問してくださると思わなかった。いただいた意見を夏休みの試作に活かしたい。」
「社長の発表を横で見ていて、すごいと思った。自分もいつか、自分が企画した商品を人に発表するような仕事がしたいと思った。」
と安堵と充実感でいっぱいの生徒たち。それとともに、自分たちの商品がまだまだ見直しが必要で発展途上の段階にあることを思い知らされた一日でした。
この計画発表会をもって一学期の授業は終了。夏休みは、再び試作に取り掛かります。計画発表会でもらった貴重な意見をどれだけ自分たちの商品に活かせるか、今後の生徒たちの頑張りに期待です。
【「経営マーケティングプログラム」とは?】
「経営マーケティングプログラム」は、アクセンチュア株式会社と一般社団法人Bridge for Fukushimaが県内5県立校(岩瀬農業高校/ふたば未来学園高校/相馬農業高校/会津農林高校/福島明成高校)で展開する、農業・水産高校向け人材育成プログラムです。グローバル化や高齢化が進む中、将来の地域復興や再生を担う農業高校や水産高校の生徒は、食品や農作物を生産する技術だけではなく、高い競争力や付加価値をつけられるような製品開発力や課題解決力、そして経営に関する知識の習得が求められます。本プログラムは、こうした知識と、その基盤となるマインドを持った人材の育成を目的としています。
アクセンチュア株式会社:https://www.accenture.com/jp-ja/