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【インターンシップ体験記】2017年度春期・飛内淳哉さん

飛内淳哉さん Junya Tobinai
参加当時:神田外語大学 外国語学部 イベロアメリカ言語学科 3年
受入事業先:NPO法人 いいざかサポーターズクラブ(福島市飯坂町)
期間:2018年2月19日~3月16日
課題:温泉街の観光コンテンツを作る仕事です!

――東北随一の温泉街である福島県飯坂町。近年の観光スタイルの変化や震災の影響を受けるこの町で、10年後を見据えてさまざまな事業を行っている、いいざかサポーターズクラブさんでのインターンに挑戦しました。どうしてインターンに参加しようと思ったんですか?
もともと僕はメキシコの観光業に就きたいと思っていました。よさこいのチームにも入っていて、あちこちで踊って地域観光にも携わってきたので、実際の観光業をきちんと経験してみようと思ってこのインターンを選びました。でも一か月終わって、今は「地方のために働ける人材になりたい」という軸ができたんです。

――軸が変わるほどの1か月。どんな期間だったんでしょう。
最初は長いと思っていたけど、あっという間でした。初日なんて「まだ長いなあ」って思っていた(笑)。同じいいざかサポーターズクラブに入ったインターン2度目の藤井(達也)君が、「1か月は短いよ」と言ってくれたおかげで、最初に取り組んだ飯坂町のPEST分析も、三日目から始めたヒアリングも、トップスピードで行けました。3週目からのイベントの企画や実行もあっという間でした。

――町の課題を見つけるために、最初の2週間は飯坂町でヒアリングを続けたんですよね。どうやって進めたんですか?
全部で20名ほどに話を聞いたのですが、最初はいいざかサポーターズクラブ代表の佐藤さんが名刺の一覧をくださって、「どうするかあとは自分たちで考えて」と。まずは町をいちばん分かっている観光協会の方から始めて、そこから見つかった課題をもとに、聞く質問をステップアップさせながらヒアリング対象を絞っていきました。飛び入りで行っても、快く話をしてくださるところばかりでした。

――藤井君とは、どんなふうにチームワークを組んだのですか?
僕はとりあえず話してみよう、というタイプ。藤井君は話を聞いてじっくり考えるタイプ。僕が趣旨を説明して切り出して、藤井君が的確な質問をして、という感じで役割分担ができ、うまくかみ合っていたと思います。

――それにしても、2週間で本当にたくさんの方に話を聞けたんですね。
後から言われたんですが、インターン活動中の写真が、飯坂町の人とご飯を食べているところばかりでした。それだけ地域に受け入れてもらったということ。ありがたかったです。そういう中で、自分の価値観が「復興・創生のために頑張ろう」と変わっていきました。

――何か印象的だった話があったんですか?
「都会がプラス、田舎がマイナスじゃなくて、どちらもプラスマイナスがあれば釣り合う」と言われたことです。「田舎には何もないから都会に行く、田舎はマイナスばかり」じゃなくて、都会の人が「のどかだから、物価が安いから」というプラスのイメージで田舎に行く、と考える。そうすると福島も原発のイメージはあっても、プラスに捉えたらすばらしい場所だよね、と言われたんです。
それを聞いて、今までは東京が近いから東京で就職、と思っていたけど、地方に行って自分の軸を作りたいと思いました。それで今、いろんな地方の就職説明会にも足を運んでいます。今はすべての地方でいいところを見つけられる自信があるけど、最終的には福島に戻りたいです。

――そんなヒアリングを経て企画したのが、3月11日に実行した「~いいざか温泉街歩き~ おかしめぐり&上生菓子手作り体験」というイベントでした。点数をつけるなら何点くらい?
75点かな。企画も広報も運営もして、参加者アンケートに「楽しかった」と書いてあってうれしかったですが、どうしてこの企画なのか、もっと詰められたらよかったです。結果的に町歩きと和菓子作りがいい方向に行ったけど、時間のない中で作ったという反省点もあります。

 

――企画案はいくつか作ったんですか?
他にも2つくらい出したけど、参加者が来ない、利益がないなどのリスクが高すぎるものでした。値段設定もニーズも考えないといけなかった。ただ企画を作るだけじゃダメなんだと学びました。

――他にも大変だったことはありますか?
広報活動は苦労しました。僕も藤井君もポスターデザインは苦手で、アイデア出しもゼロから始めました。この時期は藤井君といろいろもめましたが、飯坂町でのもう一つの受入事業所だった松島屋旅舘さんのメンバーなど、他の方たちにもたくさん意見をもらいました。

――松島屋旅舘さんでは、いいざかサポーターズクラブと松島屋旅舘でのインターン生5人で共同生活をしていたんですよね。いかがでしたか。
楽しかったです。学年も選考も背景も違うから不安だったけど、知り合ううちに、みんなと将来や目標を共有できて、毎日話が尽きませんでした。僕は理論的に話すのがもともと苦手だけど、理系のメンバーの話を聞いて、理系の人はこんなふうに発想するんだ、おもしろいなと思ったりしました。

――他にも自分の中で変わったことはありますか?
理論的に話すという自分の苦手な部分に向き合えるようになったことと、自分のすることに対して「なんで?」を考えられるようになったことです。それを突き詰めたら、人のために役立ちたい、という答えが出ました。ボランティア通訳セミナーなどにも興味がわいて、地域のため、人のために自分の力を使いたいと思い始めました。4年だけど新しく地域貢献サークルにも入ったんですよ!授業も、単位重視じゃなくて、今までは選ばなかったようなものも取っています。

――将来の夢も、成果報告会で「ホテル経営者になりたい」と言い切ったのが印象的でした。
率直に出た感想でした。土湯温泉での「若旦那サミット」に行った時、旅館経営者の方と話しているうちに、経営者という選択肢もあるんだよと言われて、そんな仕事もいいなあと思い始めました。「若旦那サミット」に行った時はイベント企画中で忙しかったけど、何がチャンスになるかわからないですね。
成果報告会は緊張したけど、自分たちで招待した方々が来てくださってうれしかったです。そのうちのお一人が、その後Facebookで「自分の息子みたいに思っています。ホテルの仕事のことはいつでも質問してください」と連絡をくださったのも、すごくうれしかったです。

――本当に有意義な1か月だったんですね。
終わった時、飯坂町の方たちが「10年後働きにおいでよ」と言ってくださいました。飯坂町は特別な場所。人の温かさに触れました。町全体があったかい。話しかけたらみんなが言葉を返してくれます。インターンで行ったからこそ、それが分かりました。個人で旅行して観光するのとは違って、インターンで見えるものはたくさんあると思います。
短い時間であれだけのものができたのは、地域の人に協力していただいたからだと思っています。イベントにはSNSの宣伝を見て参加してくださった方もいて、「飯坂町がよく分かってめちゃくちゃ楽しかった」という感想をいただきました。いいざかサポーターズクラブの会員の方が案内してくださったおかげだし、宣伝も自分たちの力だけではできませんでした。町歩き、データ分析、ヒアリング、企画、運営と、いろんなことが経験できた1か月でしたが、二人でそこまでできたのは、地域の人の協力があってこそだと思っています。

――飯坂町以外の福島を見る機会もありましたか?
まだ津波や原発事故の影響が残る、浜通りへの1日ツアーに行きました。小学校跡地で、地震発生時で止まった時計を見た時、当時ここにいた人たちの気持ちを考えて胸が痛くなりました。浪江町では「まち・なみ・まるしぇ」が明るくにぎわっていて、福島の人は強いなあと思いました。貴重な体験になりました。

――目標が明確になった飛内君から、今後に続く人たちへメッセージを。
インターンシップという一歩を踏み出したら、見える景色が変わります。その先で何が見えるかは自分次第だけど、僕は自分の軸が変わりました。
選考面談でも、自分の強みを簡潔に話せるようアドバイスをもらえて、今の就職活動で役立っています。弱みを指摘されたのはきつかったけど、それもインターンに参加しなければ、言われる機会もありません。とりあえずやってみよう!と思って挑戦してください!

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