インターン記~湯田しおりさん~

8月26日~9月13日までの3週間インターンをしていた湯田しおりさんが、インターン記を書いてくれました。

==============================================
~インターン記~

広島大学人間社会科学研究科の湯田しおりです。8月26日から9月13日までの3週間、Bridge for Fukushimaでインターンをさせてもらいました。

【きっかけ】
小中学校での教員時代から探究学習には興味がありましたが、教員として生徒の探究を深める活動や地域を巻き込んだ活動などは思うように実践できていませんでした。
現在の大学院ではザンビアの数学教育についての研究で、直接的には関連していないのですが、グローカルな視点や教科教育においても探究的な学びの重要性も耳にすることが多く、改めて探究について学びたいと思うようになりました。そして、これまでは学校の内部から教育に関わっていましたが、「外部者として」の関わり方はどのようなものなのか知りたいと思い、Bridge for Fukushimaでのインターンの機会をいただくことになりました。

【インターンの感想】
インターンでは、事務所でスタッフの皆さんと各校の探究活動についてお話を伺ったり、高校に訪問させていただいて実際に探究活動をしている高校生と対話をさせてもらったりしました。
高校での探究は各校さまざまで、学校への関わり方も多様なのだと感じました。地域の大人が自然に学校の中にいて一緒に探究を楽しんでいる学校、小さな失敗を繰り返しながら何度もいろいろなことにチャレンジしている学校、高校生がBFFスタッフや先生、友人と対話をしながらテーマについてモヤモヤしながらも深掘りしようともがいている学校、トークフォークダンスを通しておもしろい地域の人々とたくさん出会いの場がある学校、ミドルリーダーの教員がリーダーシップをとって指導にあたっている学校、探究の指導に自信がもてないけれど目的を理解して生徒に声掛けをしている先生がいる学校。
そのように多様な状況や課題をもっている学校に対してのBFFのスタッフの皆さんの対応も多様だったことも印象的でした。3週間インターンをしてBFFのスタッフのみなさんが探究授業のコーディネーターとして3つの役割を果たしているように感じました。

① 潤滑油としての役割
探究を通して生徒と地域の大人などの「学校と地域」をつなぐ役割だけでなく、他の学校の生徒が探究の授業に飛び入り参加したり、ある学校の事例を教員研修として別の学校につなげたりする「学校と学校」をつなげる役割、事業として外部機関を巻き込むための「外部機関と学校」をつなげる役割を果たしていました。一つの学校での事例にとどまらず、より広い視野で探究学習を捉えている部分がBFFの特徴なのだと感じました。

② 懐中電灯としての役割
スタッフのみなさんの高校生や教員への声がけを聞いていると、いろいろな発見がありました。まず、よく声がけの中に出てきたものとしては、言語化する手伝いをするような声がけ。「それって〇〇じゃない?」「例えばどういうこと?」などという言葉で、もやもやしたものをすっきりさせていく働きがけをされていました。また、「それをすることでどんなことが起こりそう?」「そもそもそれの目的って?」とクリティカルな視点からも捉えつつ問いを投げかけていることが印象的でした。それから、立場・役割を明確にする言葉や、相手の思いを汲み取ったうえでの新たな視点の提案など、状況に応じて声がけの質を変えていくところにプロフェッショナリズムを感じました。

③ おもしろがる大人としての役割
今回のインターンを通して一番感じたことは、おもしろがれる人はとても魅力的だなということです。高校生の興味があることについて一緒に学んだりおもしろがったりする教員や地域の大人、自分の探究テーマについて熱く語れる高校生。そして、BFFのみなさんは、その探究を通してうまれた「おもしろい」を大切にしていました。失敗も「おもしろい」に変える力が高校生や探究に関わっている教員、地域の人の自信につながっているのだろうなと感じました。

この3週間は私にとって探究を探究する期間でした。問いを立て、本や論文で調べ、実際に授業を見、たくさんの人から話を聞き、もやもやしたものを振り返って言語化するという中で探究のおもしろさを感じることができました。そして、BFFのみなさんがそれぞれのよさを生かしながら探究に関わっている姿から、たくさんのことを学ばせていただきました。3週間、ありがとうございました!!

一覧はこちら