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【インターンシップ体験記04】2017年度春期・日野友月さん

日野友月さん  Yuzuki Hino
参加当時:名古屋学院大学 現代社会学部 現代社会学科 2年
受入事業先:有限会社 松月堂(南相馬市鹿島区)
期間:2018年2月19日~3月16日
課題:100年続く老舗菓子店。ホワイトデー商戦に向け、新しい視点で集客イベントプロデュース。

――南相馬市で100年営業を続ける老舗和菓子屋の松月堂さん。これまでさまざまなイベントを開催して地域を盛り上げてきました。震災後も早くから営業を再開しましたが、まだイベントの復活にはいたっていません。日野さんはその課題解決に挑み、ホワイトデーを「感謝の日」とし、手作りのディスプレイとともに5つの新商品を売り出しました。
 修了研修で振り返りシートにつけた点数は60点。そんなに高くないんですね。
1か月が足りなさすぎました。もともと松月堂さんにはイベント企画の基盤があります。1か月でこれだけできたなら、3か月くらいあれば何ができたんだろうと思って。

――なるほど。松月堂さんのインターン生は一人だったから、大変だったんじゃないですか?
自分でやることを増やしてしまった時は大変でした。新商品の提案、製造個数の確定、チラシやディスプレイ作成、販売……全部終わるのか不安になってしまいました。でも松月堂さんもいつも進み具合を心配して、何かと声をかけてくださって、家族の中で働いている感じでした。

――アットホームなお店ですね。日野さんが松月堂さんに来ようと思った理由を教えてください。
もともとお菓子屋さんに興味があったんです。地元に、積極的にイベントなどを開催しているお菓子屋さんがあるんですが、おばあちゃんたちが世間話をしに集まったり、小学生が放課後に遊びに来たり、コミュニティスペースにもなっていて、お菓子屋さんは地域とこんなふうに関われるんだなと憧れていました。松月堂さんも地域密着型。ぜひ行きたいと思いました。

――とりわけインターンの行き先に福島を選んだのは?
大学のボランティアで、福島の親子を名古屋に呼ぶ「名古屋いりゃあせツアー」という企画の運営に参加してきました。南相馬市や福島市で子育てするお母さんたちと話しているうちに、本当の福島を自分の目で見なくちゃ、と思って。「福島、地域密着型、お菓子屋さん」のキーワードが揃っていたのが、松月堂さんでした。
それと自分に自信を持ちたかったから。今まで私はリーダーについていくタイプでした。でも社会に出たら主体的に考えて動かないと。そこを鍛えて自信をつけたかったんです。

――実際に福島に来てみて、どうでしたか?
みんな震災を引きずっているわけではなく、今後の町を作っていくために何ができるか、何をしたいか、前向きに考えている印象を受けました。
ただ、通勤は電車(JR常磐線)だったんですが、本数が少なくて退勤時間の調整に苦労しました。暴風警報が出て、途中の駅で電車が止まった時は、一緒に乗っていた高校生たちとあたふたしてた(笑)。こういうのが住民の方の悩みなんだ、と思いました。

――1週目はヒアリング中心でしたね。
自分がやりたいだけのイベントにしないために、お店の人にはもちろん、鹿島の町の人にも聞きました。お店の名前を出すと「ああ、松月堂さんね!」と言う人が多くて、地域密着型のお店なんだなと実感しました。
最初の一人目は緊張しました。近所の野菜直売所から始めたんですが、きっかけがつかめず店内をぐるぐる回っていたら、見たことのない葉野菜を迷わずカゴに入れたおばあちゃんがいたんです。「どうやって調理するんですか?」って声をかけました。「あんた知らんの?」と言われたので、インターンで鹿島に来たと話すと、会話を聞いた周りの人も集まってきてくれて(笑)。話を聞きたい、若い人にも会いたいと言うと、公民館とか若い人に人気のたこ焼き屋さんとか、町のいろんなことを教えてくれました。ヒアリング楽しい!鹿島の人たちって温かい!と、心から思いました。

――おばあちゃんへの声のかけ方も巧みでしたね!
大学で学んでいる地域学や、カウンセリングの実践授業の会話練習が活かせたのかな。でも、インターンシップで大学の勉強が活かせることって、実際はあまりないと思います。それよりも「私だからできることは何か」を重視するほうが、ずっと大事だと学びました。

――そう実感したことがあったんですか?
新商品で四つ葉のクッキーを考えたんですが、私らしいねと好評でした。ハート型の抹茶クッキーを4枚四つ葉の形に並べたもの。小さい子がおばあちゃんに渡して、大好きな気持ちを伝える。4枚あるから、おばあちゃんはその子と分け合って食べられる。値段も買いやすいように抑える。そこまでストーリーを考えたところが自分らしかったと思います。お菓子は、作ってから食べる瞬間までが売る側の責任だと思うので。

――すてきなクッキーですね。そのほかにもたくさん新商品作りに取り組みました。
2週目からは提案、試作、検証を繰り返しました。試作品もかなり作っていただきました。型があるものなら、提案して2時間後には焼き上げていただいたものもあります。逆に、型がないからという却下理由がいちばん多かったかな。お店は製造ラインも接客チームも忙しいから、提案するタイミングには気を付けたり、イラストで一目でわかるようにして伝えたりしました。

――最終的にイベント用にできあがったのは、四つ葉クッキーのほか、いちご狩りフィナンシェ、感謝のシュークリーム、似顔絵クッキー、メッセージクッキーの5種類でした。
ヒアリングで見えた課題を踏まえ、イベントテーマは「若い人がおばあちゃんに感謝を伝えるホワイトデー」にしました。イチゴ狩りフィナンシェは、イチゴが実っているようにディスプレイして、本当のいちご狩りのように演出しました。お菓子を買うことに、楽しさを加えることも大事にしました。

――ディスプレイも自分で作るのは大変だった?
やるしかないから、悩んでいる場合じゃなかった!シェアハウスの仲間に手伝ってもらうことも多かったです。紙の葉っぱ作りはみんなでしました。

――南相馬でインターンをしていたメンバーと、1か月共同生活をしたんですよね。
一人で相談相手もいなくて、途方に暮れるかなと思っていたけど、シェアハウスに帰れば話せる相手がいてよかったです。深刻だと悩んでいた時に相談したら、別の見方からあっさり解決したことも。新商品案やトッピング案も多数決を取ったり。ほかの事業所さんの悩みも聞きました。ヒアリングは他でもしていたので、効率的な聞き方や対象者の選び方などを意見交換しました。

――そんな1か月を過ごして、今、自分が変わったと感じていることはありますか?
今までは欲張って、できそうなことは何でも手を出そうとしていたけど、もっと絞って、早い段階でできることを的確に見極めようと思うようになりました。困難なことがあったら、一緒にできそうな人を探したり、自分でできることの線引きをしたり、まずはそれを考えることも大事だと知りました。
これから福島の魅力を名古屋で発信したいと思っています。旅行の選択肢に福島がすぐ出てくるくらい。SNSでリアルタイムの福島をチェックして、他のインターン生とのつながりもキープしたいです。

――日野さんには、「周りを見る余裕があって、誰かの役に立てる人」という、なりたい自分の明確な目標があるんですよね。
インターン面談後に自己分析を重ねて見えたのがこの目標でした。周りを見る余裕は、自分のことがちゃんとできて生まれるもの。誰かの役に立てるのというのは、自分より誰かのために動くことにやりがいを持てるということ。将来はそういう人になりたいです。

――具体的にはどんな夢がありますか?
人と人をつなぐ仕事、人と関わる仕事が大前提です。コミュニケーションは苦手だと思っていたけど、インターンでヒアリングを経験して不安が消えました。新商品開発では、このお菓子が実現した先に作って売る人がいて、買っていくお子さんがいて、喜んでくれるおばあちゃんがいて、と思うと本当に楽しくてたまらなかった。お菓子屋さんのプロデュースやコンサルティングをしたいです。作る人、売る人、買う人、食べる人みんなの橋渡しになれるように。

――最後に、今インターンを考えている人たちに、背中を押す一言を。
人脈が広がります!地域の人とも、その地域のために集まった人ともつながれる。そこからまた全国に人の輪がつながるのもおもしろいですよ。名古屋に戻った後、同じインターン生が呼びかけたイベントに参加したら、そこでもまた友だちができました。インターンをきっかけに、どんどん世界が広がる感触を味わってください!

一般社団法人 Bridge for Fukushima
[本部:高校生のためのコミュニティスペース palette]
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